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【  2012年11月  】 更新履歴 

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  11.03.  【 加速度 】  2.1 - 丸の内マルゲリータ(1)   さわりを読む▼
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  11.06.  【 加速度 】  2.4 - 丸の内マルゲリータ(4)   さわりを読む▼
  11.09.  【 加速度 】  3.1 - 不二家のホームパイ(1)   さわりを読む▼
  11.10.  【 加速度 】  3.2 - 不二家のホームパイ(2)   さわりを読む▼
  11.10.  【 加速度 】  3.3 - 不二家のホームパイ(3)   さわりを読む▼
  11.13.  【 加速度 】  4.1 - ファンタオレンジと秋の空   さわりを読む▼
  11.15.  【 加速度 】  4.2 - ファンタオレンジと秋の空(2)   さわりを読む▼
  11.16.  【 加速度 】  4.3 - ファンタオレンジと秋の空(3)   さわりを読む▼
  11.20.  【 加速度 】  5.1 - アンリ・シャルパンティエのクレープシュゼット(1)   さわりを読む▼
  11.22.  【 加速度 】  5.2 - アンリ・シャルパンティエのクレープシュゼット(2)   さわりを読む▼
  11.28.  【 加速度 】  6.1 - じゃがりこと金木犀のある帰り道(1)   さわりを読む▼
  11.30.  【 加速度 】  6.2 - じゃがりこと金木犀のある帰り道(2)   さわりを読む▼


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2.1 - 丸の内マルゲリータ(1)

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 窓ガラスから透かして見る世界がどうあれ、外に出てみるとやっぱり暑かった。会社の玄関を出るとあまりにも眩しくて、手で日光を遮る。私たちが普段使っているオフィス棟から渡り廊下をはさんだ先には工場棟があって、青空に向けて高く突き出した煙突からは蒸気が吐き出されていた。もわもわと陽炎みたいに揺らめいていた。横須賀の片隅の町はまだ夏の余韻を残している。アスファルト敷きの国道はじわじわと太陽の熱を反射して、潮...全文を読む


2.2 - 丸の内マルゲリータ(2)

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 日差しはだいぶ落ち着いてきて、皇居の向こう側の空は紫色に染まり始めている。頬を暖かい風が撫でて行って、夏という季節が滑り落ちて行くみたいだった。有楽町と大手町、東京駅と皇居をつなぐ大きな十字路が全て見渡せる。だんだんと人が多くなってきて、渦を巻くように流れが定まらなくなってくる。人ひとりひとりが構成する激しい海流。その力の大きさに私は流され削られていくような感覚を覚える。けれどもひとりひとりはとて...全文を読む


2.3 - 丸の内マルゲリータ(3)

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 原田君が予約していたというイタリアンレストランの中に入ると、中は熱いくらいだった。多分、キッチンの真ん中にどんと据え付けてあるピザ釜の炎が暖めているのだ。前菜で運ばれてきた、ナッツの香りがする生ハムをもしゃもしゃと頬張る。「今日も、あの会社で出てきたのは、またあの部長だった。今回はフェイントをかけて、いちばん最後の終業前、いちばんばたばたしてそうなときに行ってみたの」「週末終業間際の管理職はだいた...全文を読む


2.4 - 丸の内マルゲリータ(4)

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 外へ出たら信じられないくらいに涼しかった。「また随分冷えるね」「すごいね。さすがつるべ落とし。ここまで冷えるとは思わなかったよ。そろそろスーツの上も着てこないとダメかなぁ」「うん。早く着たほうがいいよ。スーツの上は、男の人の魅力を2割アップさせるんだって」「そんなに絶大な力があるんだ。知らなかった」「弁理士のバッジがあればさらに倍」「すごいね」「顔かお金かなんだって。怖いねぇ世の中は」左手にはめた...全文を読む


3.1 - 不二家のホームパイ(1)

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 飲み会は好きではない。お酒、そんなに飲めないし。だいたい、なんで定時後の自由な時間を潰されるためにお金を払わなければいけないのか。誰も得しないのに、なんでこんな因習がいつまでも残り続けるんだろうか。とリエに言ってみたら、「私は好きでもないけど嫌いでもないよ、みんな面白い話してくれるし。どうせ家に帰っても、やりたくてやりたくて仕方ないってことなんてあんまりないし。だったら普段から一緒にいる人と、普段...全文を読む


3.2 - 不二家のホームパイ(2)

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 経緯がどうであれ、せっかくあの場から逃れることができたので手を洗うことにする。 つっかけを履いて右奥へ向かう。同じような飲み会で通い慣れた店だから位置関係は完璧に分かっている。トイレにつながる分厚い鉄の扉を押し開けると暖かい風がもわっと体を包み込む。 洗面所に備え付けられていた、小学校でよく見た緑色のアルボース石鹸は泡立ちが悪くて、何回も何回もプッシュしないときれいになったように思えない。それにし...全文を読む


3.3 - 不二家のホームパイ(3)

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 「甘いもの食べたい」と皆川くんが言ったのは、落ち着きすぎた私がうつらうつらとし始めた瞬間だった。「……え。甘いもの?」意識が飛びかけていた私には、あまりにも突拍子のないその言葉が現実に発されたものだとは俄かに信じられなかった。「はい。甘いものです。クッキーでもチョコレートでも」私はあくびを噛み殺しながら目をこする。「さっきあんなにいろいろ食事が出てたのに」「だからですよ。しょっぱいものとビールばっか...全文を読む


4.1 - ファンタオレンジと秋の空

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 今日の3時のおやつは鳩サブレー。今井さんが土日で鎌倉に行ってきたらしく、そのお土産だった。「本当は午前中に配ろうと思ってたんだけど、次から次へ電話がかかってきていつの間にか昼になってたんだよ」今井さんはそう言うと鳩サブレーをがりりとかじる。「月曜日の朝の忙しさって異常ですよね。」インスタントコーヒーを入れた紙コップをトレイに3人分。まず今井さんの前に置くと、ありがとうと会釈してくれた。「みんなそんな...全文を読む


4.2 - ファンタオレンジと秋の空(2)

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 午前中の電話で納期の督促がいっぱい入ってきたから、現場に生産至急品の催促をしに行かなければいけない。この仕事がまためんどくさい。頼んだらすぐにできるものでもないから、客先への納期から逆算して各工程の係長に、いつまでにこれを作ってください、だとか、いつまででいいって言っちゃいましたけど客先の事情が変わったのでちょっと早めてはもらえないでしょうかとか、そういうことを言って回らなければいけない。最悪の場...全文を読む


4.3 - ファンタオレンジと秋の空(3)

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 「今の時間、食堂ならだれもいないし目立たなくていいですよ」と言う皆川くんに連れられて、食堂までやってきた。昼食の時以外で食堂に入ったのは初めてだった。耳に馴染んだいつものざわめきは今はなくて、冷え始めた空気がしんと張り詰めている。ばたりとドアが閉まる音が、やけに大きく響いた。「食堂は結構、休憩で使ってる人が多いんですよ。」前を歩く皆川くんに、私はただ、着いていくだけ。「椅子がいっぱいあるから広々使...全文を読む


5.1 - アンリ・シャルパンティエのクレープシュゼット(1)

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 朝起きてカーテンを開けたら雲ひとつない秋の空だった。暗闇に慣れきってしまった目には毒なくらいに眩しくて、思わず目を細めた。テレビをつけてベーコンエッグを作っていたら、溶けたバターの匂いがあまりにも官能的で、家の中に引きこもっているのが勿体無く感じ始めた。外に出よう。晴れた土曜日には銀座を歩きたい。真っ白な磁器のお皿に盛った、近年稀にみる出来のぷるぷると黄色くジューシィなスクランブルエッグがすごくお...全文を読む


5.2 - アンリ・シャルパンティエのクレープシュゼット(2)

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 目の前に置かれたダージリンがふわりと香る。ふわふわ漂う湯気は現実感を溶かしていく。アンリシャルパンティエのサロンは地下にある。広くて白くて明るいケーキブティックになっている地上階とはまったく趣が違っていて、ここの地下には入るたびに少し戸惑う。密やかに息づいた別の世界に足を踏み入れたみたい。ビビッドなピンクだとか紫を基調とした内装は、でも過度に華やかには流されてはいない。階段を取り囲むような本棚は吹...全文を読む


6.1 - じゃがりこと金木犀のある帰り道(1)

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 その日は朝からよく晴れていて、オフィスの窓の外には久しぶりの入道雲がもくもくと顔を覗かせていた。昼ご飯を食べた直後のオフィスはちょうど眠気も太陽も上りきっていて、まともに仕事ができるような状況ではなかった。「暑いな、異常に暑い」今井さんは作業着のボタンを3つ目まで外して青い扇子でぱたぱたとやっていた。「もっと冷房効かないんですか、こんなんじゃパソコンだって暑くて、うだって動けなくなりますって」皆川...全文を読む


6.2 - じゃがりこと金木犀のある帰り道(2)

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 長引いた課長の話にぐったりとしながらロッカールームを出る。ちょうど定時の17時を回った辺りだったので、いろいろやることは残っているけれど、もう今日は帰ることにする。後ろ手にドアを閉めて前に向き直ると、ちょうど男性用ロッカーから出てくる皆川くんとばったり会った。目の前で突然ドアが開いて見知った人が出てきたものだから驚いてしまって、心臓がびくっと跳ね上がった。「……あー。びっくりした。お疲れ様」「お疲れ様...全文を読む

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